季刊まちりょくvol.10
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24文化団体紹介◎濃密な合唱練習 土曜日の18時から、合唱団の練習は始まります。体ほぐしから始まり、発声練習、音取りと進んでゆく3時間は、とても密度が濃い時間です。 指揮は今井邦男先生、指導には石川浩先生、佐藤淳一先生、千葉敏行先生が交代であたっています。この日の担当は千葉先生。 「そこ、合ってない。募金箱を用意します。間違えた方100円入れて!」キメのタイミングで先生が足をふみ鳴らし、歌のリズムがビシっと揃います。「お金がかかっていると違いますね」どっと笑いが起こりますが、すぐに意識は楽譜へ戻ります。 難しいとされる「遠い帆」の合唱ですが、千葉先生は「三善先生の合唱作品の中ではそんなに難しい作品ではなく、これ以上に難しい作品は日本の合唱界に山ほどある」と言います。「これをきちっとしたドラマとして表現し、しかもそれを暗譜して演技してさらに動いて、まさに演じて奏でる=『演奏』することが大切」だそう。練習に臨む団員の表情は真剣そのもの。緊張感のある引き締まった空気には、出帆400年の年に、「遠い帆」に全力で取り組むという強い意志が感じられます。これから、どんな舞台が作られていくのでしょうか。 支倉常長ら慶長遣欧使節が世界へ向け出港してから400年。その記念の年である2013年、オペラ「遠い帆」が新演出で再演されます。1999年に初演を迎えたこのオペラは、作曲・三善晃氏、脚本・高橋睦郎氏による仙台市委嘱作品です。その中で、主役とも言えるのが合唱団の存在。昨年9月の結成から今年12月の公演まで、1年以上の練習期間をともに過ごす団員の皆さんの様子を取材しました。オペラ「遠い帆」合唱団あのオペラがふたたび!400年前に思いを馳せて団員は現在89名で、この日の参加者は71名。一斉に歌うとその声量に圧倒される。 合唱指導者の一人、千葉敏行先生

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