季刊まちりょくvol.10
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23 巨大水彩画で知られる加川広重さん。東日本大震災をテーマに、2011年の「雪に包まれる被災地」に続く「南三陸の黄金」、2作目の震災画である。 草原の中にぽつんと浮かび上がる南三陸町の元防災庁舎。何度も映像で見た光景である。巨大な水彩画が生み出すスケール感は、3.11のあの日、あの時、すべての時が止まったかのようなあの何ともいえない感情を思い起こさせる。しかし、しばらくの間、絵の前に立ち止まってじっと見ていると、夕日に包まれていく南三陸の今を感じることができた。"再生"という言葉が頭に浮かんだ。 1月6日(日)午後2時からは、メゾソプラノの後藤優子さんとピアニスト菅野静香さんを招いてのコラボレーションコンサート~故郷再生への祈りをこめて~が開催された。紡ぎ出す音は、わたしたちに祈りそして鎮魂の時を与えてくれた。特に印象深かったのは、"どんな時でも神様に愛されている"という曲であった。 言葉では表現できない芸術の持つ力を改めて感じることができた。 (編集部M.H)第10回加川広重巨大水彩画展「巨大画で描かれる東日本大震災 2」会期/2013年1月5日(土)~9日(水) 会場/せんだいメディアテーク主催:加川広重美 術 1月11日(金)からその週末にかけて、仙台市内・大町のギャラリーターンアラウンドを会場に、北九州の「劇団二番目の庭」が初めて仙台で作品を公開するということで初回を観に行きました。問いと答えで構成された脱パフォーマンス作品とのこと。 白壁のアクティングエリアで行われる質問と答えのやりとりと、その途中にプロジェクターで投影されるインタビュイーたちの映像によって、彼ら一人ひとりの来歴や悩み、決意や展望が語られます。 複数の登場人物の像を重ね合わせ、様々な現実や想いを描くことで、リアルタイムの社会の雰囲気や気運を表出させようとした斬新な手法でした。対話という部分は演劇的で、インタビュイーが答えを紡ぎ、インタビュアーがそれをつないでいく作業は、まさに「思考するインスタレーション」でした。見ている側にとっての「希望」とは何かを問いかけられる作品でした。 (編集部A.I)劇団 二番目の庭「futurama(フューチュラマ)」公演日程/2013年1月11日(金)~13日(日)会場/ギャラリーターンアラウンド主催:劇団 二番目の庭 出演:平山健太、桃生和成、若生明才、前野久美子/長内綾子演 劇

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