季刊まちりょくvol.7
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特集07 博物館や美術館などの「ミュージアム」では、常設展のほかにさまざまな企画展や特別展を開催しています。多くの人々がミュージアムと関わるのは、そういった展示を見に行くときであり、展示はミュージアムの活動の大きな柱となっています。しかし、ミュージアムの仕事は展示だけではありません。展示以前に、「人間とその環境に関する物質資料を収集・保存・調査研究」(ICOM(国際博物館会議)の定義より)する仕事が実は重要なのです。 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北各地のミュージアムや文化財にも大きな被害をもたらしました。被災した文化財や資料を救出し保全する「文化財レスキュー」の取り組みが、全国から集まった専門家の手によって継続的に展開されています。また、震災の記録や人々の記憶を後世に伝えることの大切さが叫ばれるなか、ミュージアムの現場においても、貴重な文化遺産を未来に残し、伝えていくという仕事の重要性が再認識されています。そういう意味においては、震災後、ミュージアムのあり方自体やそこで働く職員たちの意識が変わってきているとも言えるでしょう。 わたしたちはこれから、そのように変化するミュージアムの現場に注目していきたいと思います。まずは第1弾として、仙台市歴史民俗資料館・地底の森ミュージアム・仙台文学館というそれぞれの個性をもつ3館を取り上げ、どのように「残す・伝える」仕事(資料の保存・活用、次世代への継承)をしているか、またその仕事への職員の思いなどを取材しました。「残す・伝える」ミュージアムのしごとミュージアムの現場からⅠ

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