季刊まちりょくvol.7
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41947年、宮城県柴田町生まれ。父は東北初の直木賞作家・大池唯雄。東北大学理学部・同大学院理学研究科修了。埼玉県内の高校で教鞭をとりながら歌人として活躍。歌集に『バルサの翼』(現代歌人協会賞)、『草の庭』(寺山修司短歌賞)、『静物』(芸術選奨・文部科学大臣新人賞)、『滴滴集』(斎藤茂吉短歌文学賞)、『時のめぐりに』(迢空賞)、『山鳩集』(小野市詩歌文学賞)など。その他エッセイ、歌論など著作多数。2007年から「読売歌壇」の選者を務める。同年、故・井上ひさしの後を受けて仙台文学館の館長に就任。「仙台文学館ニュース」紙上で「小池光の気になる日本語」を連載するほか、月に1回短歌講座を開講し多くの受講生を集めている。小池 光 こいけ ひかる米ヶ袋を回って広瀬川のほとりに出る。高校生の頃、友人と夜の河原に来て青春を語り合ったこともあったなあ、と小池さん。小池さんが既存の物事の形を壊す学生運動のなかに身を置きながら、短歌という定型の世界に深く入り込んでいったことには、人が何かに出会うことの不思議を感じずにはいられない。その出会いがあって、わたしたちは今、小池さんの作品や講座などを通じて日本語の妙に感じ入ることができる。それはここ片平からはじまっているのだ。キャンパスの背後に真新しい高層ビルがそびえる風景をながめながら、そんないろいろな不思議を思った。片平から足をのばして一番町界隈へ。途中、文化横丁を抜ける。このあたりにも学生時代の思い出が。「アルバイトでお金が入ると、ここの中華料理屋で夕飯を食べたりしたね」。そのお店は現在も変わらず営業中と確認できた。

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