季刊まちりょくvol.7
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14書庫を案内する学芸員の渡部直子さん。●文学館の「資料」 現在、仙台文学館には10万点を超える資料が収蔵されています。それらには書籍・雑誌のほか、文学者たちの直筆資料(原稿・構想メモ・書簡など)や万年筆・眼ねがね鏡といった愛用品も含まれます。そういった資料を、学芸員の渡部直子さんは「デリケートなもの」と言います。 「デリケートなもの」というのは、まずは紙資料の扱いの難しさを意味します。明治から昭和にかけての書籍類には経年劣化が著しい「酸性紙」が使用されていること、インクで書かれた直筆資料の文字は展示の際の照明によって薄れてしまうこと、紙の保存には温度や湿度が大きく影響することなどです。そのため、仙台文学館では、展示の際に紫外線をカットした照明を使用したり、展示室や書庫・収蔵庫の湿度も適度な数値(55%前後)で一定するように努めているそうです。 もうひとつの「デリケートなもの」の意味は、書簡や日記、作品の構想メモなど、世に出すことを想定していない性格の資料もあるということです。「そういった資料は創作の過程などが垣間見えるので、読者の側からすると非常に興味がわくもの。しかし作り手側からすると見られることを意図していないものなので、そこを結び付けていくのはとても難しいですね」と渡部さん。近代から現代という新しい時代を扱っているため、その内容の扱いには細やかな配慮が必要になってきます。そこが歴史系のミュージアムとは異なる部分です。●保存と公開のせめぎあい 展示の際は実物資料を出すのが最も効果的ですが、資料の状態(破損が激しい、インクが薄れてきているなど)によってはどうしても展示が困難という場合があります。そんなときは「レプリカ」(複製)の出番です。 仙台文学館では、自館所蔵の資料で出番の多いものや、他館で所蔵している資料のうち、仙台とのゆかりが深く自館でも所蔵しておきたい資料などのレプリカを作成しています。 実際にレプリカ資料を見せてもらいました。初代館長・井上ひさしと太宰治の直筆資料のレプリカ(右ページ写真)は、紙の質感や破れ、インクの染みや濃淡など、細部まで見事に再現されています。このような精巧なレプリカを展示することで、実物の資料を劣化から守っていくことができるのです。 資料を保存していく活動と資料を活用し公開していく活動は矛盾をはらんでいます。「いつもそれのせめぎあい」という仙台文学館 ⇒P.8から続く

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