季刊まちりょくvol.7
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12収蔵庫を案内する学芸員の畑井洋樹さん「れきみん」に収蔵されている資料の台帳。資料についての情報が1点ずつ細かく記載されている。この台帳の冊数が30年の歩みを物語る。●暮らしの道具は壊れたら 捨てられてしまう 仙台市歴史民俗資料館(以下、「れきみん」)は1979(昭和54)年に開館して今年で34年目を迎えました。収集した資料は2012年3月末現在で73,746点(台帳に記載された数。その他整理中のものもある)にのぼります。実際に収蔵庫を拝見すると、人間が暮らしの中で使用してきたありとあらゆる道具や、地域の歴史を物語るさまざまな資料が所蔵されていることがわかります。 その資料の大半は仙台市内外のお宅から寄贈されたものです。「れきみん」では寄贈の申し出を受けるとまず職員が調査に赴き、資料を見るだけでなく、その家の方にこの道具はいつ頃どんなふうに使っていたのか、家ではその道具を何と呼んでいたか、当時この近辺はどんな様子だったか、また、例えば家電製品だったら当時いくらぐらいで買ったか、などの聞き取り調査をします。モノそのものだけでなく、それにまつわる人々の暮らしがどのようなものだったのかが重要になってくるのです。資料の中でも、「地域の特色が出ていたり、資料に記年があったりして使用年代がはっきりわかるものは貴重」(畑井さん談)ということです。 「れきみん」の資料は身近な生活用品ですが、そのような道具は壊れたら捨ててしまう場合が多いので、実は、意識して残すようにしないと残っていかない性質のものなのです。●東日本大震災後の資料収集活動 2011年度は、東日本大震災で自宅や蔵に被害を受けた市民の方々から、「家財道具を整理していたらこういうものが出てきた」という連絡が多数あり、実際に震災から約1か月後の4月初旬から収集活動を行い、年度末までに合計24件約650点の資料の寄贈を受けました。その中には、宮城野区の津波被災地からレスキュー(救出)してきた近世から近代にかけての文書類もありました。 また、市史編さん室や県内の歴史資料の保存活動を行うNPO法人「宮城歴史資料保全ネットワーク」と共同で、あるい仙台市歴史民俗資料館⇒P.7から続く

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