季刊まちりょくvol.5
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6仙台市若林区卸町にオープンした「能-BOX」は、イベント倉庫として親しまれてきた協同組合仙台卸商センター所有の倉庫を改修し、市民の方から仙台市に寄贈された能舞台を移築した施設です。この能舞台はもともと観世流同好家の方が青葉区小松島に稽古用として昭和51年に建造したもの。三間(5.4m)四方の正式な能舞台よりひとまわり小さい二間半(4.5m)四方の大きさですが、市内の能楽関係者の間で「小松島能舞台」の名で親しまれてきました。仙台市ではこの舞台の寄贈を受け、仙台卸商セ開館式ではまずおごそかに素謡(舞や囃子を付けずに謡だけ演奏する形式)「神歌」が演じられました。A仙台市卸町にオープンした「能-BOX」ですンターと共同で整備を進め、「橋掛り」「舞台屋根」を新たに設けたり、舞台上の「後あとざ座(正面奥、囃子方が座る場所)」「地じうたいざ謡座(客席から向かって右、地謡方が座る場所)」と呼ばれる部分も幅を広げるなどの改修工事を行いました。途中、東日本大震災の影響があったものの、無事8月25日に開館式が行われ、舞台ゆかりの観世流能楽師・津村禮次郎さんらによる素謡、仕舞や太鼓とのコラボレーションが披露されました。セレモニーの後半は、和太鼓ユニット「Atoa.」の演奏と津村さんの舞のコラボレーション。この舞台は津村さんが主宰する「緑泉会」の仙台での稽古場としても使用されていました。正面の鏡板に描かれた老松は津村さんの筆によるもの。続いて仕舞(面や装束を身に付けることなく、囃子も参加しないで行う舞と謡だけのパフォーマンス)が披露されました。(左から坂真太郎、山中 晶、津村禮次郎)舞台写真:佐々木隆二

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