季刊まちりょくvol.5
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25言うことではない。芝居を通して観客自身の日常の様々な関係を、そして失ったつながりを再確認する。このプロジェクトの社会的な意義はここにある。裏を返せば、それは劇団まんざらや関係者の熱意と実力の結果でもある。 ただ高齢者が演じ、高齢者が見る光景はやはり違和感が残る。高齢化社会を迎え、客席が高齢者により埋められる日もそう遠くない。だが劇場とはやはりソーシャルミックスの場であり、パブリックな場の役割でもある。 冷静に考えれば、劇団の結成とは往々にして私的な理由の積み重ねであったりする。芝居を創る作業も関係の積み重ねであり、お互いに気づき摺り合わせる場の共有でもある。 劇場の原型でもあり、いま最も求められる震災後の公共文化施設の役割を気づかせる一幕でもあった。<公演情報>2011年11月4日(金)・5日(土)・6日(日)会場/仙台市市民活動サポートセンター 市民活動シアター原作:アントン・チェーホフ 翻案・演出:石川裕人出演:伊勢武司、奥平常利、黒川春子、郷内宣子、小寺梨加、今野さと子、佐佐木修、佐藤しげ子、佐山輝子、庄子勝義、蘇武マサノ、武内典子、知野雅樹、千葉澄子、津島肇、土田美代子、沼田益偉、早坂恵子、伏見郷子、松崎ちよ子、八尾坂彰撮影/佐々木 隆二

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