季刊まちりょくvol.4
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5渡部 三妙子さんミュージカル劇団「OH夢来’S」顧問 『みんなが元気になれる場所を創ろう!』をスローガンに舞台製作活動をしていましたが、震災後かなりぐちゃぐちゃと悩んでいます。あまりにも『現実』が強烈すぎて、それに比べ被害を受けていない自分の思うことはあまりにもウソっぽく感じる。恐る恐る被災地に出向いて子ども達と遊んでいますが、そんな行動にもまた疑問。これは自分本位な活動だよな……。なんてことでまた悩む。自分の内外に『本当』を探し求め出口の保障のない迷路を歩き回るような感覚です。情けない私の背中を押してくれたのは、4月の公演が震災の影響で延期となり、奇跡的に会場が決まったときの子ども達の喜びや、自分達の公演で多くの人を元気にしよう!と頑張るその8月の公演を前に、体育館を借りて稽古に励む「たまごファーム」の子どもたち。姿です。彼らの瞳には確かな『本当』があります。『これが私たちの活動の原点だよな』と恥ずかしながら再確認いたしました。『やれることをやろう!』ありふれた言葉ですが、きっと『本当』はそこにあるんですよね。渡部 三妙子 (わたべ みさこ)福島県いわき市生まれ。オリジナルにこだわった在仙ミュージカル劇団「OH夢来’S」の顧問、子どもミュージカル劇団「たまごファーム」の代表を務める。今年4月に予定していた「たまごファーム」の公演「ワンダ~ランド~不思議の国へ出かけよう!~」は震災で延期となり、8月に上演した。 3月11日に発生した東日本大震災は、宮城・仙台の文化芸術活動にも大きな影響を与えました。ホールの被災・休館によって大半の公演は中止となり、文化団体は活動の休止を余儀なくされました。人知の及ばない災害の前に立ちすくみ、芸術の力とは何か、と繰り返し自問したアーティストも数多くいたことでしょう。 震災から半年がたち、施設は徐々に再開し文化活動は復興に向かっているように見えます。そのような中、文化芸術の分野で活躍する仙台ゆかりの方々は、いま何を思い、感じ、考えているのでしょうか。18人の方に文章を寄せていただきました。震災から半年わたしが今考えること特集04

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