季刊まちりょくvol.4
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28文化団体紹介◎血気盛んだった創設期 新洋会の会員がよく集まるという西公園近くのカフェ&ギャラリー「ガレ」でお話を聞かせてくれたのは、元会長の佐々木修さんと現会長の松崎正人さん。佐々木さんは昭和38年に新洋会に入会、松崎さんも昭和48年からの会員で長いキャリアの持ち主です。 新洋会は、抽象画を得意とした洋画家の長尾光章を中心に9人の愛好家が集まり、昭和35(1960)年12月に産声をあげました。創立時の祝宴の写真には洋画家の菅野廉や日本画家・宇野松仙といった錚々たる来賓の顔も見え、「“独自の表現”競う 新洋会結成初の洋画展」と題された当時の新聞記事などからも、発足時の意気込みと熱気が伝わってきます。 「長尾先生が魅力的な人でね。文学青年あがりというか、芸術家肌というか。その長尾先生にひかれて入会する人が多かったんです」と佐々木さんが語るように、会には長尾氏を慕う教員、食堂や蕎麦屋の主人、国鉄職員など職業も個性も違う青年たちが集まってきました。その若い情熱は並々でなく、昭和46年の第10回展の際は、宣伝のため仙台上空にヘリコプターを飛ばしたという逸話もあるほど。会合では絵の話題を肴に酒を酌み交わし、終わりに肩を組んで「新洋会会歌」を歌うのが楽しみだったそうです。◎違いがあるからこそ、50年 元国鉄マンの佐々木さんは、忙しい仕事の合間をぬって、また大病をいくつも経験しながらも絵筆を持ち続けてきました。思いを込めた作品に対し厳しい評価がなされることもありましたが、「絵を描いていると力が出る。仕事のストレスも忘れられた」と絵を描いてきた理由を語ります。 せんだいメディアテークの5・6階ギャラリーに、震災後しばらく途絶えていた展覧会のにぎわいが戻ってきました。この9月初旬、ギャラリーを会場に「創立50周年記念」の冠がひときわ目を引く美術団体の絵画展が開催されました。グループの名は「新洋会」。昭和35(1960)年に設立された歴史ある団体です。その半世紀の歩みを取材しました。新洋会佐々木修さん(右)と松崎正人さん(左)心と絵筆でつながった50年の歴史

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