季刊まちりょくvol.4
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23からぬ(?)高揚感に包まれ、幕を下ろした。 ここ10年のGWHと今井邦男氏の音世界の充実は目を見張るばかりである。平成17年以来、全国大会において第1位が2度、2位が2度と、まさに、日本を代表する合唱団である。「指揮者の理想は、よく練習してあまり本番をしない。歌舞伎や能の演目のように、生まれた時から休むことなく練習して、完全に手の内に入ってからはじめて演奏する」とGWHの特集記事にそんな一文があったが、まさにその境地。合唱団員が高い技量を培つちかい、それが自在に絡み合う。アカデミックな体質に加え、東北人のひたむきさを兼ね備えた、学都仙台が生んだ至宝であると感じたとともに、同時代を生き<公演情報>2011年7月3日(日)開演14:00会場/仙台市青年文化センターコンサートホール指揮:今井邦男 □プログラムⅠ 混声合唱とピアノのための「白いうた 青いうた」より1、なぎさ道 2、二十歳(はたち) 3、壁きえた 4、卒業 5、南海譜(作詞:谷川雁 作曲:新実徳英 ピアノ:阿部弘子)Ⅱ O quam gloriosum ああ、なんと栄光にあふれていることか(作曲:ファート)Zwei Lieder für gemischten chor op.19 混声合唱のための2つの歌 Weiß wie Lilien 百合のように白く Ziehn die Schafe von der Wiese 羊の群れが去れば(作詩:ゲーテ 作曲:ウェーベルン ピアノ:阿部弘子)De profundis(Psalm130)op.50b 深き淵より 詩編130番 (作曲:シェーンベルク ソプラノ ソロ:渡辺まゆみ バリトン ソロ:髙橋正典)Hör mein Bitten 主よ、私の祈りを聞いてください 詩編55番 (作曲:メンデルスゾーン ソプラノ ソロ:清水明子 オルガン:榊原光裕)Ⅲ A Little Jazz Mass for mixed voices 混声合唱のためのリトルジャズミサ 1、あわれみの讃歌 Kyrie 2、栄光の讃歌 Gloria 3、感謝の讃歌 Sanctus 4、ほむべきかな Benedictus 5、平和の讃歌 Agnus Dei (作曲:チルコット ジャズユニット:Happy Toco〈ヴァイオリン:佐藤聡子 ピアノ:榊原光裕 ベース: 佐藤弘基 ドラムス:岸川雅裕〉)Ⅳ Jazz Folk Songs ジャズフォークソング集 1、En la Macarenita(スペイン・アンダルシア)マカレナで 2、Hush,little Baby(アメリカ)おやすみ か わいい赤ちゃん 3、Sakura(日本)さくら 4、Scarborough Fair(イギリス)スカボローフェア 5、Tuoll’ on mun Kultani(フィンランド)むこうに私の恋人が 6、Waltzing Matilda(オーストラリア)ウォルツィン グマチルダ(編曲:チルコット ジャズユニット:Happy Toco)る幸福を満喫した演奏会であった。 今回の震災を経て、戦災で焼け野原になったかつての杜の都仙台に「再び緑の森を」と設立された原点に立ち帰り、日々合唱ができるという幸福、合唱の力と恵みを糧とし、さらに他の追随を許さない合唱団となるに違いない。来年の第60回定期演奏会は、バッハの「ミサ曲ロ短調」を演奏するという。川内萩ホールに鎮魂の歌声が響くだろう。

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