季刊まちりょくvol.4
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12ホールの微妙な音の響きが少し変わった気がしている。それは機械で測定しても判らないのだが、若い後輩も感じていたらしい。何か些細な差が出来たのだろうか?あの日以降、自分は何か違う地平にいる様でならない。SF小説ではないけれど地軸も何インチか傾きが変わったという話だし。しかし、少し変わったと感じる「響き」はそんなに悪くない。むしろ、いいのかも、しれない。皆さんもコンサートを聴きにいらしたら、確かめてみてはいかがでしょうか?佐々木 克則 (ささき かつのり)仙台市生まれ。東北地方を中心にイベント、コンサートなどの照明・音響・映像等に関する業務を行う株式会社東北共立のスタッフ。現在、青年文化センターにおいて舞台音響を担当している。西大立目 祥子さんフリーライター荒浜や藤塚をはじめ、この震災で被害を受けた地域に、私は親近感を抱いてきた。七郷には、地元のおじいさんたちとの協同作業で雑誌づくりをするために3年通ったこともある。仙台の暮らしが成り立ってきたのは、江戸時代以来、ここで米づくりをする人たちがいたからである。塩をかぶり作付けができなかった田畑を前に、地域の方々はどんな思いでいらっしゃるのだろう。仙台市の復興計画次第では、ここには人が住めなくなるかもしれない。1600年代初めの慶長の大津波のあと、湿地を切り開き苦難をこえて営まれてきた村の暮らしが消えると思うと、話を聞かせてくれた人たちの顔が浮かんでいたたまれない気持ちになった。そんなとき、市民文化事業団の「RE:プロジェクト」にライターとして参加しませんか、とお誘いを受けた。被災地のかつての暮らしをたずね、そのお話をペーパーにして地元の方々にお届けする試みだ。未来へ一歩を踏み出すためには、過去の暮らしを思い起こす作業がいる。大震災に見舞われた方々の思い出に耳を傾け、寄り添っていたいと思う。 西大立目 祥子 (にしおおたちめ しょうこ) 仙台市生まれ。フリーライター。街歩きを契機に歴史的建造物の保存に関心を深め、2006年「まち遺産ネット仙台」を立ち上げる。著書に『仙台とっておき散歩道』『寄り道・道草 仙台まち歩き』など。「RE:プロジェクト」http://www.sendaicf.jp/contents09.html須田 聖さん仙台ジュニアオーケストラ団員今回の地震で、私達仙台ジュニアオーケストラのスプリングコンサートは中止になってしまいました。震災の前日もコンサートに向けて練習していました。この地震を通して、私は命の大切さ、ジュニアオケで楽器を弾ける喜びをあらためて感じました。私の友達の中には、津波で家を流された子もいます。そんな中、ジュニアオケの練習が始まらず、私は団員のみんなと早く会いたいと思いました。やっと練習が再開されました。震災から6ヶ月経った今でも時々余震を感じます。でも、震災に負けず、私達は7月にスプリングコンサートの曲目で特別演奏会を開くことができました。練習時間が減ったり、気分が暗くなったりもしたけど、無事に団員全員が参加できて本思い出の中にさぐる、これからの一歩

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