季刊まちりょくvol.3
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14意識していませんでしたね。2年目はテーマがありながらも事務局はシステム作りに手いっぱいで、ディレクターを石川裕人さんや渡部ギュウさんにやっていただいたので、芸術面の口出しをしていいのだろうかという遠慮みたいなものがあったりしました。今年は僕がプロデューサーで、3年目なので間違いのない8本にしたいと思い、PDにもかなりお願いしましたね、これは演劇祭だと。お客さんは井上ひさしの物語を期待してくる、奇をてらったり、自分のアピールをするための場にしないでほしい、と。それで、普段劇団でやっていることや自分のテイストは置いておいて、井上作品をいかにお客さんが娯楽作品として楽しめるかということをちゃんと考えてくれたのは助かりました。赤間 今年は完成度が高かったと思います。その反面、井上先生がいない今、公演を見ながらテキレジ(※5)がこれでいいのかとか、微妙なことを考えるようになってしまったんですね。小説作品などを一定の上演時間で演劇化する場合、テキレジはもちろん必要だと私も思うのですが、杜劇祭で「井上ひさし〜」のような冠をつけてやっているなかではプレッシャーもあって、テキレジの仕方が井上先生の意図を正しく伝えていないのではないかという感想がお客さまの中から出るかもしれないと思いました。幸い好意的な評価が多く、良かったなと。鈴木 演目づくりのバランスが難しいですね。今は芸術面を強力に監督している人間がいるわけではなく、PDに預けている部分が大きい。それぞれが持ち味を出して、それが何本か集まってバラエティ豊かなラインナップになるのがいいと思ってやっていますが、今後、例えばPDが他のプログラムを観たりして相互の影響でどれも起伏がないような公演になってしまうおそれもないわけではない。そうすると面白くなくなってしまう。編集部 今回は3年目ということで、杜劇祭がある程度知られてきたせいか、券が早く売れてしまいましたね。観たかったのに観られなかったというお客さんが出てきてしまった。鈴木 4年目の課題として、あふれた分をどこで受けるかと考えると、例えば1演目のキャパシティを増やしていく。でも一度に5、60人入るようなお店はそうないということが3年やってみて分かりました。そうするとステージ数を増やすしかないんですけど、今はステージを数多くやればやるほど赤字になるという採算ウェディングコーディネーター。飲食店におけるイベントコーディネート経験を生かして今年より事務局として参加。辻本 麻記 つじもと まき グラフィックデザイナー。TRUNK-Creative Office Sharing-所属。10-BOX主催「夏の学校」をキッカケに参加。城下 鹿乃子 しろした かのこ※5 テキレジ:台本を抜粋したり補足したりして手直しすること。

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