季刊まちりょくvol.3
13/44

11例えば、基本的に表現者は自由であるべきだという役者のみなさんは、自分たちが自由にやれる環境をいかに作るかということにこだわる。けれども僕は、それよりも一般のお客さんからの見え方だったり、お店にいかに迷惑をかけないかということのほうが重要だと思ったので、その辺がすごく難しかったですね。編集部 最初から鈴木さんと一緒に動いている佐々木さんはどうでしたか。佐々木 初年度は事務局のメンバーも少なかったので、半分記憶にないぐらい動いていました(笑)。お店選びも、初年度私が担当したPDのイメージに合うお店がなかなか出てこなくて苦労したり。たまたま「いいねえ、ここ」って入ったお店に急に声をかけて、お店としてもイメージがつかめなかったと思うのですが、承諾していただいて。今、そのお店ではいろんなイベントをやってたりするんですよ。こちらも「開拓」だったけど、お店側にとってもそうだったんだろうと思います。編集部 佐々木さんは「杜の都の演劇祭」の名づけ親なんですよね。佐々木 いろいろ案があってもタイトルが決まらないというときに、スタッフのメーリングリストで、最初の挨拶ついでに「杜の都の演劇祭なんてどうですか」って送ったら、それが採用されました。ぽろっと言っただけなのに…(笑)。2年目は「井上ひさしセレクション」編集部 当初杜劇祭は隔年開催の予定だったんです。ただ1年目が終わって面白いので何とか来年も続けられないかということで、「井上ひさし」をテーマに仙台文学館と協働で2年目を開催しました。1年目は作品選びに特にテーマはなかったのですが、2年目は仙台文学館の赤間さんがテーマに沿った作品選定に関わられましたね。赤間 文学館の10周年記念事業全体が井上ひさしをテーマに、という年だったので、杜劇祭も井上作品で行こうと。ただ井上作品だけでなく、井上先生がリスペクトする作家の作品も取り上げると広がるんじゃないかということで、まずは文学館と10-BOXであれこれ選定しました。井上ひさしの初期の作品もいい、朗読のスタイルに適したものだったらこれ、先生が好きな作品だったら宮沢賢治、太宰治…と自由な発想で。先生と1回打ち合わせをして、先生も非常に好意的に「こんな作家もいいですよ」など意見をくださいました。苦労は※1 PD:演目をディレクションする“プログラムディレクター”のこと。杜劇祭では演目ごとにひとりずつ就任。杜の都の演劇祭プロデューサー。仙台での劇団活動(きらく企画)10年を経て事務局へ参加。企画製作を担当。鈴木 拓すずき たく杜の都の演劇祭制作チーフ。鈴木拓と共にきらく企画で活動。杜の都の演劇祭には初回から参加。デザイン、制作全般を担当。佐々木 一美ささき ひとみ

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る