26art reviewやんや新しいギャラリーがオープンした。西公園と広瀬川との間、大手町の静かな住宅街にあるgallery&atelier TURNAROUND (ターンアラウンド)である。仕掛人はアーティストの関本欣哉。東京銀座のGallery Kや仙台宮城でのアートプロジェクトなどにも参加している現代美術の作家である。事の始まりは関本自身が仙台宮城の美術界の既成の枠に収まりたくないし、東京などに出て戻ってきたクリエイターの発表の場所の必要性を日頃から感じていたことにあるらしい。仙台は政令指定都市で東北の中では経済の中心地だろう。しかし芸術文化面ではどうだろうか。仙台を離れてみて気づくことがあったのだろう。アーティストが自ら発表の場を創り出すアーティスト・ラン(※1)の運営は仙台でも広がりつつある。一番町のピクニカ、エノマ(※2)もそうである。関本は東京で斎藤義重が指導していたTSA(※3)で現代美術を学んでいる。団体展などに属さず斎藤を師と仰ぐ現代美術作家は多いが、今回のオープニング展での石川雷太もTSA出身で戦争や紛争のシンボルなどメッセージ性のある作品で注目されている美術家である。イラク戦争時に米軍が使用したミサイルの数や映像、さらに放射能含有物質と放射能測定器などによるインスタレーションになっている。初日は石川によるパフォーマンスも行われた。人が人をあるいは人が自然をコントロールしようとすることに対する矛盾や抵抗を作品から感じ取ることができる。また既成の価値観や枠に収まらなかった点は斎藤の流れを汲む石川や関本の共通するところでもある。TURNAROUNDの方向性を示唆する企画になっている。行政主導のハコもの文化事業もソフト中心の文化事業へシフトすべきである。場を創るアーティスト・ランの試みターンアラウンドギャラリィ&オープン企画展「石川雷太展」村上 タカシ(美術家、一般社団法人MMIX Lab代表、大学教員)
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