14前野 そうですね。仙台を訪れた人をどこに案内すればいいか結構悩むのですが、とりあえず魅力的な仙台がリアルに体験できる、そういう場所は必要ですね。坂口 そういった方向性にメディアテーク全体がどういうイメージをつくれるかが鍵だと思います。貸しスペース主体のフロアと図書館やスタジオが複合していますが、施設全体として「メディアテーク色」をつくるために、各フロアの機能や活動が、もう少しつながる仕組みが必要な気がします。メディアテークスタッフ 現在、図書館を中心に、各階がこれまで以上に連携していく方向で話を進めています。一つ質問ですが、人についてはどうでしょうか。「活動を支援する」というのは、関わりすぎても引きすぎても難しいところがありますが。鹿野 もう少し学芸員以外の人がキュレーションしてもいいのではないでしょうか。そのような外に開く仕組みと、ぐちゃぐちゃな作業があって、そこから出てくることを待てるという部分がスタッフの方々にあったらいいと思います。メディアテークの価値坂口 メディアテーク開館後、一番町から晩翠通りを越えてメディアテーク側まで人が来るようになり、周辺にカフェやお店が増えてきています。また、近くにマンションが建設され分譲される時も、必ず写真付きで「メディアテーク徒歩何分」と記載されています。これらはメディアテークの開館によって、ある種の経済性と一定のイメージが形成されてきているとも捉えることができます。そのような現象もデータを分析し言語化できれば、具体的な地域効果の一つとして表現することができるかもしれません。鹿野 図書館があるのも大きいですね。自由に行ける場所が内在していることで、多くの人が来ている。坂口 平均して1日1500〜2000人ぐらいの人が図書館を利用しています。鹿野 図書館はふらっと行ける感じですかね。坂口 そうですね。一方、メディアテークには、仙台市の人口とほぼ同じ年間100万人以上の人が訪れていますが、実際は来館者全体の約75%の人が月1回以上来館するリピーターであることや、市外の人が約15%程度いることがわかりました。つまり、仙台市民でも1年間に一度も来ない人は結構いるわけです。そのあたりについてはいかがですか?鹿野 意外と興味のない人も多いということですか?私自身もギャラリーの企画展に来るのはたまになのですが、訪れていない企画展でも、評判を聞いたりするなかで、点と点がつながっていく感じがします。前野 ハードルが高い人はいると思います。その解消のためには、新しく行く動機を与える必要があるのでしょうね。いくつかの楽しみを付け加えたり、普段来なさそうな人がいる場所にプロモーションすることも大事だと思います。2030年のメディアテーク坂口 あえてですが、少し先の話をしてみたいと思います。私も含めて皆さんがベテランになり、今メディアテークに来ている子どもが創
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