10せんだいメディアテークに関わって坂口大洋 今日は仙台を拠点としながら、海外を含めて幅広く活動されている映像作家の鹿野護さんと、古書店とカフェを融合した「火星の庭」を拠点に、本の多様な世界を表現する試みを続けられている前野久美子さんをお招きして、お二人の活動を軸にこれまでのせんだいメディアテーク(以下:メディアテーク)と、これから期待することをお伺いします。まずは普段の活動とメディアテークとの関わりについて教えて下さい。鹿野護 私は普段、広告を中心にヴィジュアルのデザインやプロモーションビデオなどを手がけています。メディアテークに最初に表現者として関わったのは、「せんだいアートアニュアル」という公募展で、その翌年も参加して、非常に風通しの良い場所だと感じ、「かっこいい建物」という第一印象が変わって、ある意図を持った空間であり建築であることに気づいたんです。ちょうど仙台から東京に活動を展開しようとする時だったのですが、この時に考えていることを実際の空間の中で表現するきっかけを得たことから、仙台を活動拠点の一つとすることに面白さを感じるようになりました。最近は仙台クリエイティブクラスター(※1)の研究会などにも参加するようになり、仙台という都市の創造性を高めるための議論やプロジェクトに加わっています。それ以外では、メディアテーク1階のオープンスクエアで「Motion Texture」(P.11の写真)という展示に関わり、普段の活動の中心である「見せる」という行為から、空間を「生かす」という違った思考をする経験をして、そこからコミュニケーションやインターフェイス(※2)という部分に展開し、携帯電話のアプリケーション(※3)開発や、ヴェネチアビエンナーレ作品展に関わるなど、新しい活動につながっています。鹿野護 × 前野久美子 × 坂口大洋(聞き手・構成)特集の後半は、誕生10周年を迎える「せんだいメディアテーク」ゆかりの3人の方々の座談会です。10年の時間を経て定着しつつあるメディアテークという施設の印象、さらにはメディアテークの近未来の姿について、それぞれのフィールドからじっくりと語り合っていただきました。座談会メディアテーク以前・メディアテーク以後、そして仙台のまちはどう変わったか※☞P.8から続く
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