季刊まちりょくvol.1
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33の楽器を高橋家で預かることになり、そのなかにマンドリンがあった。「他のあらゆる楽器をもっても表現できない響き」にとりつかれ、以来、半世紀。マンドリンの可能性を求めて、ピアノ、箏、ハープ、マリンバ、二胡、琵琶、声楽などとのコラボレーションにも意欲的に挑戦してきた。「やってみないとわからないからね。やってみると思わぬ結果が出て、また新しい世界が広がっていくんです」という高橋さんの思いが人を呼び寄せるのか、最近では、かのパヴァロッティの最後の弟子であるテノール歌手、アンドレア・C・コロネッラさんがご自身から共演を熱望してきた。高橋さんが「諸々の事情で何度かご辞退したんだけど(笑)」、イタリア人の情熱に負け、来たる10月の45周年記念演奏会で招聘することに。同演奏会にはマンドリンが盛んな大阪からも合奏団を迎え、多彩なプログラムを予定している。「(コロネッラ氏に押し切られたのは)先生のイタリア語が通じなかったからですね……」「おかげで練習が大変なんですよ」と団員から泣きが入るが、冒頭のような練習風景を見れば、心配ご無用である。◎仙台とマンドリンのゆかり「マンドリンは大衆的な楽器だと思われているけれど、ヴィヴァルディやモーツァルト、ベートーヴェンなどもマンドリンの曲を残していて、歴史的には“栄光の楽器”なんですよ」と高橋さんから楽器の歴史を教えていただいていると、驚いたことに、明治時代に日本で初めてマンドリンを演奏した人物は、仙台出身の音楽家・四しかまとつじ竃訥治だという話題も飛び出した。マンドリンと仙台にそんな意外なゆかりがあるとは、どれだけの市民が知っているだろうか? 「近頃、マンドリンをもっと多くの人の共感を呼べる楽器にしたいという使命感を感じています。若い頃は、マンドリンを弾いている自分が好きだったんだけどね(笑)」と高橋さん。「いい家族。宝物です」というチルコロ・フローラの仲間とともに、これからもマンドリンの魅力と可能性を追い求める。現在、団員は70代から10代までの約40人。管弦楽のオーケストラ同様、第1・第2マンドリン、マンドーラ、マンドロンチェロ、マンドローネ、ギター、コントラバスというパート編成がある高橋さんを支える委員の方々 後列左から部長の大内さん、運営委員の渡辺さん、演奏会実行委員の赤間さん▶▶▶「チルコロ・マンドリニスティコ・フローラ創立45周年記念演奏会」のページ(「仙台市民の文化事業」PRページ )もご覧ください17

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