季刊まちりょくvol.1
33/116

31のが、今年6月、仙台市内で2日間にわたるイベント「こけしと旅と本」を開催したときのこと。3人とも「あんなに人が集まるとは予想していなくて……」と多少戸惑い気味に振り返るその催しは、こけし工人による実演から、絵付けワークショップ、こけし茶会、こけしをモチーフにした雑貨の販売といった盛りだくさんの内容。雑貨目当ての若い女性、親子連れ、通りがかりの人、愛好家のおじさまたち……幅広い年代の人々が訪れ、狭い会場は大盛況。遠くは青森や東京から来仙したお客様もいて、こけしでつながる人の輪の広がりを感じたそうです。◎「分業制」の心意気女性らしいセンスにあふれる「こけしぼっこ」の皆さんですが、活動はかっちりと「分業制」をとっているそう。代表を務める小島さんが冊子の編集や工人さんたちとの交渉、木下さんがワークショップや雑貨の企画、山田さんがお茶会やこけし型のお菓子などの製作をそれぞれ担当、こけしという共通テーマのもと個々の専門能力を活かし、その世界を掘り下げているところに、「心意気」さえ感じます。今後は、小冊子第2号の発行とイベントの企画のほか、若い世代にもっと関心をもってもらう取っかかりとして、工人さんとのコラボレーションによる新しい商品の開発も手がけていきたいとのこと。独自の視点と個性、それに工人さんや愛好家の方々とも思いを分かち合う「男前」な行動力と探究心で、“こけし界”に新しい風を吹き込む「仙台こけしぼっこ」さんたち。彼女たちの話を聞いて、ほらほら、あなたの家の棚にひっそりとたたずんでいるこけしが、気になる存在に見えてきたんじゃないですか?木下さん作の羊毛フェルトこけしカラーでお見せできないのが残念!表情や描彩、フォルムなど、細かい点まで忠実に作られています。左から小島典子さん、木下明子さん、山田泉さん(小島さんの左隣に写っているのは山田さんの息子さん)小島さん「こけしは見ても楽しく、憩える。それに、こけしを求めて旅もできる。人とのつながりが生まれるところもいい」木下さん「私はモノを作る人間なので、こけしは“目標”です。その姿、人を熱中させる力(魔力とも言える)、工人さんたちの技術、どれをとってもすごい」山田さん「こけし愛好家のおじいちゃんや工人さんたちと出会い、こけしを入り口として思わぬ世界が広がっていくんです」▶▶▶「仙台こけしぼっこ」のページ(「仙台市民の文化事業」PRページ )もご覧ください※「こけし」には、東北地方で昔から作られている「伝統こけし」と、地域を問わずお土産として売られている「新型こけし」がありますが、ここでは「伝統こけし」を指します。4

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る