季刊まちりょくvol.1
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13斐ひさこ沙子さんが演じた一人芝居です。もう最初から泣きっぱなしでした。戯曲も良いし、彼女がすごくチャーミングで、もう抱きしめたかった! 石川 井上ひさしさんの『組曲虐殺』(※5)が素晴らしかった。井上さんが演劇人に向けた「後を頼んだぞ」というメッセージが濃厚に感じられ、重い真実と明るい笑いが共存する井上作品ならではのエッセンスがここにもある。本人もこれが書けて満足したらしいね。丹野 実は、いま私が一番読みたい作家が「井上ひさし」なんです。亡くなってからというのが口くや惜しいけど、 本当に素敵な作品がたくさんあるから、もう一回井上さんのことを知りたいと思っています。(2010.7.20 せんだい演劇工房10-BOXにて)仙台は、全国でも有数の演劇がさかんな都市と言われます。それぞれの個性をもつ劇団と演劇人たち、観客、行政がともに手をとりあって、「劇都」の文化をつくりあげてきました。 1950年代1960年代1980年代1990年代2000年代注※3 シニア劇団高齢者の生きがいづくりや介護予防を目的に、仙台市が2010年6月に立ち上げた劇団。オーディションで選ばれた60歳以上の男女約30名が参加し、11年1月の公演に向け、石川氏の指導のもとワークショップや講座で演劇の基礎を学んだり、稽古を行っている。※4 『ウィンドミル・ベイビー』デービッド・ミルロイ作、和田喜夫演出。オーストラリアのアボリジニの老女を主人公にした一人芝居。日本では2008年、演劇企画集団楽天団により上演。主演の大方斐紗子が動物を含む12役を演じ、演劇専門誌「テアトロ」の「2008舞台ベストワン」に選ばれる。10年5月から6月にかけて、東京・福島・仙台で再演された。※5 『組曲虐殺』井上ひさし作、栗山民也演出。特高による拷問の末、虐殺されたプロレタリア作家・小林多喜二の半生を、井上が得意とするユーモアと音楽で綴る評伝劇。2009年に主演・井上芳雄で初演された。10年4月に死去した井上ひさしの「遺作」となる。コラム ― 劇都仙台※〔 〕は仙台市市民文化事業団、仙台市主催参考資料:仙台市シティセールス誌「仙台NEW」第3号特集「劇都仙台DramaCity」 、資料「劇都に至る」作成/八巻寿文(せんだい演劇工房10-BOX)「劇研銅鑼」と「仙台現代劇協会」〈56年「仙台民衆劇場」と改称〉の二大劇団時代小劇団、学生劇団、職場演劇(労働組合の文化活動)による公演活動新しい劇団が次々に旗揚げ全国的な「小劇場ブーム」、若者の観客が増える87年、エル・パーク仙台開館。〔舞台技術養成講座〕開講(名称を変え現在まで続く)90年、青年文化センター開館。地元の劇団中心に公演を公募する〔仙台演劇祭〕始まる。 劇団同士のつながりが生まれる。90年代初め、劇団数は約20団体95年、〔演劇プロデュース公演〕開始99年、〔演劇ワークショップ〕開始(~2001年)90年代後半には劇団数が80団体を超え、ピークを迎える01年、〔仙台劇のまち戯曲賞〕設置。 (08年まで4回にわたり公募、大賞作品をプロデュース公演)02年、せんだい演劇工房10-BOX開設08年、〔杜の都の演劇祭〕始まる。10年、仙台市が「劇都仙台」の取り組みなどにより、09年度文化庁長官賞・文化芸術創 造都市部門を受賞。現在、市内で活動する劇団は約40団体

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